減損会計制度とは、企業の持つ事業用の土地や建物などの固定資産に対して、地価が下落したり、これらの資産を利用した事業の収益性が低下したりすると、投資額の回収が見込めなくなるため、過大に計上されている帳簿価格と現在の評価額を比べ、その差を損失として計上する制度のことをいいます。 国際会計基準(IAS36号)は、帳簿価額が回収可能価額を超えないようにすることが減損会計の目的であるとしています。ただし、国際会計基準では、減損会計とは別に、固定資産の再評価が代替処理として認められていて、投資不動産についても時価評価と取得原価主義による処理との選択を認めている点には注意が必要です。 減損会計の対象となる資産は、主に有形固定資産や無形固定資産(のれんなどもこれに含まれます)などの長期の費用性資産です。しかし、すべての対象資産について毎期回収可能性を調査することは、あまりに負担が大きく非現実的です。そこで資産に減損が生じている可能性を示すような兆候があるときに限り、回収可能性を調査します。資産の市場価格が著しく低下していることが自明な場合や、対象となる資産に関連して営業損失やキャッシュフロー損失が生じているといった事象が減損の兆候と判断されます。 国際会計基準では回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に減損を認識し、回収可能価額まで帳簿価額を引き下げます。ここで回収可能価額とは、正味売却価格と使用価値(見積将来キャッシュフローの現在価値)のどちらか高い金額です。つまり、資産の帳簿価額を回収するために は、いま売却してキャッシュを得るか、資産の使用とその後の処分からキャッシュを得るかしかありませんが、そのどちらか高い金額で回収できると考えるわけ です。また資産を継続して使用する場合には長期にわたっての回収になりますので、金利要素やリスクを反映させた現在価値を用います。