◆はじめに
当社は、1980年の創業以来行っている物流施設のサブリース事業を基盤にして、現在は、CREを中核とする総合不動産サービスグループの形成に向かってステージを着実に進めている。グループの事業もプロパティマネジメント(PM)事業とアセットマネジメント(AM)事業、それぞれをさらに事業系と住居系にセグメント化して各事業のシナジー効果を生み出している。
2007年3月期における当社を取り巻く不動産環境は、非常に活況であった。特にコア事業として推進している物流施設を中心とする開発・ファンド組成等については、中心地区の地価高騰により物件が取得困難となっている状況を背景に、郊外物件に開発のノウハウを提供でき、スピーディな対応のできる当社のようなAM事業は市場から強く支持されている状況にある。
◆2007年3月期連結決算の概要
経営企画本部経営企画部長 山田 聡
売上高は490億54百万円(前期比162.7%)、営業利益36億31百万円(同120.4%)、経常利益31億円(同106.1%)、当期純利益10億66百万円(同127.5%)の結果となった。売上高は、物流関係の開発案件が規模・件数共に増加したこと、および各グループ会社が成長したことにより、大幅な増収となった。営業利益は、住居系の広告宣伝費等の先行的な投資による販管費の大幅増加(前期比174.5%)があったが、売上の拡大が吸収して20%の増益を確保することができた。経常利益は開発案件の仕入れに伴う借入利息の支払いが増加したことにより6%の伸びにとどまった。また、前期は投資有価証券の売却益が臨時的収入として1億50百万円計上されていたことも伸び率に影響している。当期純利益については、前期のマイナス要因(賃料保証引当金繰入額、減損損失の減少)がなくなり、経常利益に比べ増益幅が大きくなっている。直近5年間の連結業績の推移で見ると、前期に特殊な収入があったため売上に対して利益の伸びで突出したが、流れとしては当期を含めて売上・利益共に順調な伸びをみせている。
連結のセグメント実績においては、PM事業は133億58百万円(前期比116.0%)、営業利益4億92百万円(同62.0%)、AM事業は357億77百万円(同192.1%)、営業利益51億57百万円(同151.7%)となった。PM事業は、主力の事業系が安定的に推移し、加えて前期より開始した住居系PMの影響により売上規模は拡大したが、同時に住居系事業の先行投資的な育成費用の発生により、営業利益は減少した。事業系の売上総利益が前期比99.7%と前期を下回ったが、前期に賃料保証引当金の戻入益があったことにより売上原価が約1億20百万円減少したことが要因であり、基本的には管理面積の増大とともに固定収入(サブリース・管理収入)は安定的に推移している。住居系売上高は前期比1,272.9%、売上総利益は同812.2%と、子会社の育成により大きく伸びているが、こ?この営業利益でのマイナスが、セグメント実績でPM事業全体の営業利益が減少した要因である。
AM事業は、自社PMのノウハウを活かした物流施設や商業施設の開発事業が軌道に乗ったことにより大幅な増収増益となった。事業系は物流系開発案件の順調な推移により増収増益となり、住居系は主軸のホームプランナー事業が順調に拡大している。ここ数年、自社ファンド・運用残高共に引き続き増加傾向となっている。
連結貸借対照表における主な変動は、開発型案件の拡大・物件仕入れ増による棚卸資産の増加により資産の部が増加、開発等の積極的な投資に伴う借入金の増加により負債の部が増加、増益による利益剰余金の増加により純資産が増加している。
PM事業における各セグメントの現況としては、倉庫系は、サブリースの不採算物件の解約や、新規ファンドの管理受託の増加により、管理件数は減少する一方、管理面積は増加している。オフィス系は順調に推移している。ストレージ系(コンテナ・トランクルーム)はここ3年間横ばいの数字が続いているが、2008年3月期については計画的に伸ばしていく。AM事業では、ホームプランナー事業は順調に増加し、インベストメント事業は住居系の件数が減少しているが、事業系案件の大型化により売上は拡大している。ファンド事業は、運用資産残高は当期末で192億円である。一部クローズして売却している物件があるので年々増減を繰り返しているが、累計では約300億円と計画どおり進捗している。
◆各事業の特徴と今後の展開
社長 甲斐田啓二
(1)事業系PM:当社の最大基盤である物流施設PMで培ったノウハウ・信用をベースに多角化を推進している。良い物件の開発イコール良質の管理と認識して、子会社ビルバンク・ジャパンというオフィス専門の仲介業者の強化と、社内のPM事業部(倉庫系)の増員により、リーシング力の強化を図っていく。物流施設を組み入れる不動産ファンドの増加により、物流施設のテナントリーシング・管理に対するニーズが高まり、長い歴史・ノウハウを保持する当社にとって大きなビジネスチャンスととらえている。その施策の一つとして、昨年9月に国内で唯一当社と並ぶ規模の約800物件を管理する鞄V幸総建と業務提携契約を締結した。これにより、1都3県をカバーする圧倒的情報量を確保することができた。ここから、全国規模の流通施設系の開発・PM事業をさらに拡大・充実させていく。
第2の施策として、PM事業部内再編を実施、新たにファンドとの連携、管理受託に取り組むプロパティマネジメント事業部と従来の事業を引き継いでいるサブリース事業部を創設した。サブリースと管理受託の業務態勢を分離・特化することによりPM事業による攻めの体制を構築し、同時にサブリース事業により安定した基盤を維持していく。
Web戦略の強化により集客を図り、PM事業内のユーティライズ事業の収益拡大を図る。以上の戦略により、2008年3月期の受託管理面積は125万m2に達すると見込んでいる。さらに、自社開発物件のみではなく、倉庫系コンサルティング、パーキング業務、PM受託関係等の依頼も増加しており、これらを当社のノウハウをもって受託していくことでさらに拡大出来るとみている。
(2)事業系AM:自社PMのリーシングノウハウを活かした、不動産のバリューアップへの持続的な取り組み強化を行う。コンストラクションマネジメントのノウハウ蓄積と、人材・組織整備を通じた、開発案件への取り組みを積極化する。ファンド運用資産規模を拡大し、年に数本のペースで安定的に組成してい?く。インベストメント事業による開発案件は首都圏エリアで14件、西日本地区で11件、合わせて25件、総延床面積約43万1,000m2の開発に着手している。西日本でのAM・PM事業で当社のブランド認知度が上がりつつあり、首都圏に比べて競合の少ないこともあり、西日本地区における情報が増加している。特に、九州圏内の良質の情報が入手できている。開発案件のアセットタイプおよびマーケットの動向を勘案した上で、最適な出口戦略を構築していく。安定的な出口戦略の一つとして、当社グループのファンド事業部への売却を行い、開発事業とファンド事業との連携を図る。
(3)住居系AM:PM事業が収益の基盤と位置付けられるのに対して、収益の柱として、先のインベストメント事業と並び、ホームプランナー事業(投資用アパート販売)に注力している。今後の事業展開は、グループの情報ネットワークを活用したエリア拡大を推進する。組織等の確立、顧客へのサポートとして周辺業務の強化を継続して推進していく。入居者のニーズおよびオーナーにとっても資産価値の高い商品の開発を行っていく。Webを活用した集客・販売を強化する。提携ローンの整備を中心に物件購入サポート体制の強化、顧客層の拡大を図る。
(4)住居系PM:新規事業でありながら、先行する住居系AM事業との相乗効果で急速に拡大している。利益面での大きな貢献はまだないが、戸数としては順調に拡大しており、今後この部門単体での黒字化とAM事業との相乗効果を発揮できる事業に作り上げていきたい。特にサブリース物件が多いのでアパート供給に対する保証業務も収益源として拡大させる。Webサイトの育成強化、テレビCM展開による認知度向上等で入居者情報をとらえ、稼働率の良い運営を目指していく。空き室・賃貸等の貸し方で収益を上げていくマンスリー事業にも積極的に取り組んでいく。住居系PMにおける管理物件数は前期6,477件に対して今期は1万1,000件の目標となっている。
Web「ドッとあーる賃貸」広告キャンペーンの展開により、引き続きブランド認知度強化を推進していく。
◆2008年3月期通期業績予想と今後のグループ戦略
売上高600億円、経常利益43億円、当期純利益22億円、1株当たり配当金は20円を予定している。セグメント別には、PM事業売上高148億50百万円、同営業利益9億50百万円、AM事業売上高451億50百万円、同営業利益62億50百万円としている。
今後のグループ戦略は、(1)金融商品取引法等さまざまな法規制に対する社内体制の強化、(2)時代の流れに柔軟に対応できる将来の収益源となる事業の育成、(3)収益源を支える事業(コアビジネス)としてPM事業のさらなる強化(事業系―リーシング力の強化、住居系―「ドッとあーる賃貸」の強化、新たなビジネスモデルの考案)を課題として取り組む。
(平成19年5月31日・東京) |